労災年金の内容と注意点

労災に遭った場合、労災保険から「年金」が支給されるケースがあります。

これを「労災年金」と言います。

 

労災年金が支給されるのはどういったケースでどの程度の支払いを受けられるのか、その注意点などを解説していきます。

 

1.労災年金の種類

労災年金には、以下の3種類があります。

①傷病年金

②障害年金

③遺族年金

以下でそれぞれどのようなものか、ご説明します。

 

①傷病年金

傷病年金は、労災を原因とするけがや病気が重症で受傷後1年6ヶ月経っても完治しない場合に受け取れる年金です。
傷病等級には1~3級があり、1級がもっとも重くなっています。
給付金の金額は以下の通りです。

1級…給付基礎日額の313日分
2級…給付基礎日額の277日分
3級…給付基礎日額の245日分

給付基礎日額は労災前の平均賃金をもとに計算された1日あたりの給付金額です。

 

②障害年金

障害年金は、治療を受けても完治せずに一定の後遺障害が残ってしまったケースで受け取れる年金です。

後遺障害の等級には1~14級がありますが、年金が支給されるのは1~7級のケースであり、8級以下の場合には一時金となります。

給付金額は以下の通りです。

1級…給付基礎日額の313日分
2級…給付基礎日額の277日分
3級…給付基礎日額の245日分
4級…給付基礎日額の213日分
5級…給付基礎日額の184日分
6級…給付基礎日額の156日分
7級…給付基礎日額の131日分

 

③遺族年金

遺族年金は、労働者が労災で死亡したケースで遺族に支払われる年金です。

死亡した労働者に扶養されていた一定範囲の遺族に支給されます。

遺族年金による支給金額は以下の通りです。

遺族が1人…給付基礎日額の153日分(55歳以上か一定の障害のある妻の場合は175日分)
遺族が2人…給付基礎日額の201日分
遺族が3人…年金給付基礎日額の223日分
遺族が4人以上…年金給付基礎日額の245日分

 

 

2.労災年金の注意点

4-1.厚生年金との調整

厚生年金を受け取っている場合、労災年金額が調整されます。年金の合計額は従前の給与額を超えることができないからです。

超過する場合、厚生年金の金額は減りませんが、労災年金の金額が1~3割程度減額されます。

 

4-2.定期報告

労災年金を受け取っている場合、1年に1回の定期報告をする必要があります。

定期報告は現状を労災保険へと知らせるものであり、毎年案内が送られてきます。

 

きちんと報告しないと年金給付を止められる可能性があります。

 

4-3.金額が変わる可能性がある

労災年金の金額は変動する可能性があります。
まず世の中の賃金水準が増減すれば、年金額もそれに合わせて増減されるケースがあります。

 

 

また、労働者の年齢につき5歳刻みで「最高額、最低額」が定められているので、その金額にかかった場合には改定対象となります。

 

 

労災年金は労災に遭った方の生活を守るために重要なお金です。

給付内容や申請方法など、疑問や不安がありましたらお気軽に弁護士までご相談下さい。