労災事故の補償と注意点|2019最新版
労災事故に遭った場合、労災保険や会社から補償を受けられるものです。
しかし労災保険が支給されない場合や企業が補償を拒絶する場合などもあり、注意が必要です。
今回は労災事故で労働者が受けられる補償内容と注意点について、弁護士が解説していきます。
1.労災事故の補償
労災事故に遭った場合、以下のような補償を受けられる可能性があります。
1-1.労災保険
事業者は、人を一人でも雇用すると必ず労災保険に加入しなければなりません。
労災に加入しないのは違法行為です。
そして労災が発生したら、労働者は労災保険から以下のような給付を受けられます。
療養補償給付…治療費
休業補償給付…休業期間中の賃金補償
障害補償給付…後遺障害が残った場合の補償
介護補償給付…介護費用
傷病補償年金…1年6か月経っても完治しないときの年金
遺族補償給付…労働者が死亡したときの遺族に対する補償
葬祭費…葬儀費用
1-2.企業からの補償
労災保険だけでは労働者に発生する損害の全額は補填されません。
勤務先によっては労災が起こったときに、従業員に補償を行う制度を設けているところがあります。
たとえば休業期間中の給料が一部支払われたり、一時金などの支給が行われたりするケースがあります。
勤務先によって制度の有無や内容が異なるので、労災発生時には確認すると良いでしょう。
1-3.企業に対する損害賠償
労災発生について会社に責任がある場合、会社に対して損害賠償請求できます。
会社には雇用契約にもとづき、労働者に安全で適切な労働環境を提供する義務があります。
それにもかかわらず不適切な環境で働かせて労災事故を発生させると会社に損害賠償責任が発生するからです。
労災保険では不足する慰謝料などの補償を、企業側に求めることが可能です。
1-4.身分保障
労災に遭って仕事を休む場合、休業期間中に解雇されることはありません。
休業明け30日間における解雇も禁止されています。
2.注意点
2-1.労災保険による補償は万全ではない
まず労災保険による補償は万全ではありません。
そもそも労災申請をしても労災が認められない可能性もあります。
認められたとしても、発生した損害の全額が支払われるわけではありません。
2-2.企業が労災隠しする可能性
労災が起こったら企業は労基署へ報告しなければなりません。
しかし労災発生をきっかけに36協定違反の長時間労働などが発覚するおそれがあるので、労災隠しする企業も多数あります。
2-3.企業が損害賠償を拒む可能性
企業側に責任があり労働者が損害賠償を求めても、責任を否定し拒絶する企業が多く、要注意です。
労災保険や企業の対応に不服、疑問がある場合、弁護士がサポートいたします。
労災保険への申請、異議申立(審査請求)、企業への損害賠償請求など、弁護士が対応すればきちんと補償を受けられるようになるケースも少なくありません。
一人で悩まずに弁護士までご相談下さい。