クレーンの転倒による墜落事故
厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、労働災害の事例として以下の事例が紹介されています。
どのような労災原因で事故が発生するのか、使用者の安全配慮義務違反の内容の参考にしていただければ幸いです。
※本件は職場のあんぜんサイトの記載に基づく一般的な事例な紹介です。
当事務所の解決事例は準備中です。
小型移動式クレーンが転倒し、
作業者がジブに押されて墜落した
被災者の作業内容
設置した小型移動式クレーンで足場用単管の束を4m下ろそうとした。
事故に至る経緯
災害発生当日、港湾工事を行うため、桟橋に停泊している台船上で単管足場の組立て作業を行っていた。
移動式クレーンを運転した際に、つり荷が桟橋上に置かれた資材カゴに引っ掛かった。
そこで、移動式クレーンの運転を停止し、移動式クレーンの傍らの運転位置を離れて資材カゴからつり荷を外そうとしたときに、移動式クレーンが横転したため、Aはジブに押されて桟橋から台船上に墜落した。
なお、定格荷重は160kgであったが、つり荷は290kgと過荷重の状態であった。
事故の原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1.つり荷を移動中に過荷重になったこと
移動式クレーンが横転したときのつり荷の重量は290kgであったが、アウトリガーの張り出し状態と作業半径から定格荷重は160kgであり、過荷重となっていた。さらに、アウトリガーの張り出し状態が左右で異なっていたため、横転しやすくなっていた。
2.資格がない者に移動式クレーンを運転させたこと
小型移動式クレーンを運転するための資格の有無を確認しないまま、資格がない者に小型移動式クレーンを運転させた。
3.1人作業であったこと
つり荷を玉掛けし、周囲の状態を確認しながら移動式クレーンを運転する作業を1人の作業者に行わせていた。
弁護士の目線
無資格でのクレーン作業を労働者が行ったことは、労働者の過失として過失相殺の対象となる可能性はあります。
しかし、過荷重になったことや、一人で作業させたことが事業者の指示によることは事業者の安全管理義務違反を根拠づける事実になると考えます。