会社が労災申請に消極的な場合

1.労災に遭ったが、会社が労災申請に消極的な場合

無理矢理申請したら解雇されるのではと心配・・

会社に損害賠償請求したら、辞めるしかないのでしょうか?

会社を辞めたくないので労災申請は諦めるしかないのでしょうか?

会社に明らかな過失があるけれども、労災保険を受取るだけで我慢するべきでしょうか?

 

上記のような場合、労災申請や損害賠償を諦める前になるべく早く当事務所の弁護士までご相談ください。

 

2.労災申請で解雇するのは違法です。

労災事故が起こったとき、会社が労災申請に消極的なケースはよくあります。

それどころか所謂労災隠しとして「労災申請するな」とまで言ってくる企業もあります。

 

しかし労災が起こったら会社は必ず労基署に報告しなければなりません。

労災隠しは違法行為です。

また労働者が労災申請をしたときに解雇することも許されません(労働安全衛生法97条2項)。

解雇だけではなく「その他の不利益処分」も認められないので、たとえば労災申請を機に降格や減給、不当な人事異動などをされることも許されません。

 

そこで、労災に遭ったら堂々と労災申請を行いましょう。

 

ただし、会社は「解雇」ではなく「退職勧奨」という方法等で労働者自らの辞職を要求してくる可能性があります。

自ら辞職してしまったら基本的に退職が有効になってしまうので、会社を辞めたくないのであればまずは退職届を書いてはいけません。

弁護士に相談すれば、労働災害の申請後や賠償請求後の退職勧奨の違法性を指摘して、会社側と雇用継続の交渉も可能な場合があります。

 

もしも退職を強制され退職届を提出させたらそれも違法行為となり得ますので、退職の意思表示の無効、つまり労働者としての地位の確認や給与支払請求などを対処できる場合があります。早急に弁護士までご相談ください。

 

3.損害賠償も解雇理由にならない

労災事故が起こった原因に会社に安全配慮義務違反があれば、労災保険とは別に会社に損害賠償請求が可能です。

「会社に損害賠償請求をしたら、さすがに会社にはいられなくなるのでは?」と心配される方もたくさんおられます。

 

しかし損害賠償請求は労働者に認められる正当な権利であり、解雇理由にはなりません。

 

会社が従業員を解雇するには「解雇理由の合理性」と「解雇方法の社会的相当性」の2つの要件を満たす必要があり、これらの解雇要件は非常に厳しく判断されます。

解雇が有効になるのは、雇用契約の内容や業務態度などによって違いがありますが、正社員の場合には2週間以上無断欠勤を続けたり重大な経歴詐称があったり会社のお金を横領して有罪判決が確定した場合など、かなり極端なケースに限られます。

仮に、労災事故にもとづく損害賠償請求後に会社から理由なく解雇されたら、解雇を無効として争うことも可能です。

 

ただし、損害賠償請求をした場合にも、会社から「退職勧奨」される可能性は残ります。

解雇理由がなくても自ら退職に応じてしまったら会社を辞めざるを得ません。

不当に退職を強要されたときには、退職強要の証拠(音声データや書面、メールなど)を手元に残し、退職届にはサインせずに早めに弁護士に相談して下さい。

 

4.労働者の身を守るため弁護士に相談を

 

労災に遭ったとき、労災被害者である労働者がお一人でできることは限られています。

実際には、会社から言われて労災申請さえ阻まれてしまう例も多く見られます。

そのような不当な結果を防ぎ、労災被害者として認められた権利を実現するために、お早めに弁護士までご相談下さい。